【ネタバレ】BRAIN 一流の頭脳 #06

タイトル:BRAIN 一流の頭脳

著 者 :アンダース・ハンセン

出版社 :サンマーク出版

発行日 :2018年3月5日

最高の脳トレ

日常の様々な動作を行うとき、脳は「機能ネットワーク」と呼ばれるプログラムを使用している。
すぐれた脳とは、このプログラムをスムーズに処理できる脳であり、それは各領域(たとえば前頭葉や頭頂葉)がしっかりと連携している脳である。

研究によると、以下の特質を備えた被験者は、脳の各領域がしっかりと連携していた。
・記憶力がすぐれている
・集中力がある
・飲酒や喫煙に対する自制心が強い

この脳の各領域の連携を強化させること、つまり脳を物理的に変える方法こそが運動である。
様々な研究により、身体を活発に動かした人の脳は機能が向上し、加齢による悪影響が抑制され、むしろ脳が若返ると判明している。

集中力を取り戻す

脳には側坐核という部分があり、この側坐核は、常に「目の前の出来事は続ける価値があるかどうか」を判断している。
そして、その情報を「ドーパミン」を分泌することで脳のほかの領域に伝えている。

従って、ドーパミンの分泌量が増えると、雑音(たとえばカフェのざわめきなど)が消えるなど、目の前のことに集中できるようになる。
逆に、側坐核が十分な刺激を受けない(=ドーパミンがあまり分泌されない)と、注意力は散漫になり、よりドーパミンが放出されそうなあらゆるものに目がいってしまう。

このドーパミンの分泌を増やすのに有効なものが運動である。

多くの研究により、運動をした直後にドーパミンの分泌量が増えることが判明している。
ドーパミンは、運動を終えた数分後に分泌量が上がり、数時間はその状態が続く。

さらに、身体に与える負荷が多いほど、ドーパミンの分泌量も増える。
そのため、ドーパミンの量を増やすには、ウォーキングよりもランニングのほうが適している。

ストレスのメカニズム

脳が何らかの脅威を感じると、偏桃体の指令により「コルチゾール」というストレスホルモンが放出され、脳と身体が厳戒態勢に入る。

この偏桃体には、ストレス反応を引き起こすだけではなく、ストレス反応によっても刺激を受けるという性質がある。
そのため、偏桃体の指令によりコルチゾールの血中濃度が上がると、偏桃体がさらに興奮する、つまりストレスがストレスを呼ぶという悪循環を招いてしまう。

また、ストレス反応を緩和する海馬の細胞は、過度のコルチゾールにさらされると死んでしまう。
つまり、偏桃体が長期にわたってストレス反応を引き起こしつづけると、海馬というブレーキがすり減ってしまう。

そして、アクセルである偏桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。
こうして、ストレスがストレスを生むという悪循環に入る。

ストレスに対抗する

運動は肉体に負荷がかかる活動であり、一種のストレスであることから、運動中はコルチゾールの分泌量が増える。
そして、運動が終われば、コルチゾールの分泌量は減る。

運動を習慣づけると、運動中のコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、逆に運動後に下がる量が増えていく。
さらに、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。

つまり運動により、ストレスに対して過剰に反応しない身体が出来上がる

運動ではほかにも、以下のような効果が一挙に得られる。
・ストレス反応のブレーキペダルである海馬と前頭葉が強化される
・不安の引きがねである偏桃体の活動が抑えられる
・「ニューロンの乳母」が増え、脳内の興奮を鎮めるGABAの作用が活発になる
・筋力がつき、ストレス物質を無害化する働きが促進される

つまり、運動こそが、ストレスや不安を消し去る本物の解毒剤なのである。

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