【ネタバレ】リーダーの仮面 #24

タイトル:リーダーの仮面

著 者 :安藤 広大

出版社 :ダイヤモンド社

発行日 :2020年11月24日

リーダーの心がまえ

プレーヤーとして優秀だった人であればあるほど、リーダーとして失敗するリスクを抱えている

手取り足取り指導する人は、優しくていいリーダーに見えるが、実は、メンバーが思考停止し、成長することができない。
「俺の背中を見て覚えろ」と言わんばかりに自分がプレーヤーを続け、部下についてこさせようとする人は、できるリーダーのように思えるが、実はリーダーとしての責任を放棄し、役割を果たしていない。

リーダーの仕事の本当のゴール、それは、部下を成長させ、チームの成果を最大化させることである。

面倒見のいい人は、つい部下に寄り添い、「思いつき」でモノを言ってしまう。
しかし、その思いつきの言動は、部下の成長を止めることもあり得るということを認識しなければならない。

優しい言葉をかけて、その場だけ「いい人だ」と思ってもらっても、部下の成長につながらなければリーダーとしては失格である。

感情を横に置く

組織にとっては、やる気を上げて一気にやることより、平常心で淡々と結果を出すほうがはるかに大事になる。
そのためには、モチベーションの有無や個人差によらない「理論」が大切になってくる。

反対に、「職場の人間関係を円滑にしないといけない」と思い込み、
・メンバーの誕生日を覚えて、誕生日カードを書いて渡す
・昼休みにみんなで遊べるように卓球台やダーツを用意する
というように、感情をマネジメントしようとする組織運営は正しくない

部下たちの様子を見て、やる気を出させてあげる、頑張る理由を与える。
そうやって、常に「モチベーション」のことを考えてしまうと、リーダーは失敗する。

結果を出せない部下が、「モチベーションが上がらなくて…」と言い訳ができてしまうような状況をつくってしまったら、そのチームは終わりだからである。
リーダーは、絶対にそのような状況をつくらないようにマネジメントしなければならない。

リーダーの役割とは、部下たちのモチベーションを上げることではなく、成長させることである。

「モチベーション」や「楽しく働いてもらうこと」は部下の「今この瞬間」の利益にしかフォーカスしていない。
そうではなく、今を含めた未来にしっかり利益を与えることが求められているのである。

マネジメントのポイント「ルール」

ルールが明確でないと、部下はリーダーの顔色をうかがい、空気を読みながら行動しないといけなくなる。
チームで仕事をする際も、「誰がやるんだ」「なんで手伝わないんだ」と、みんなが見えないルールを探り合って疑心暗鬼になり、人間関係がギスギスしはじめてしまう。

従って、「空気の読み合い」ではなく、「言語化されたルール」でチームを運営することが大切になる。

マネジメントのポイント「位置」

・時間があるときで構わないので、資料をまとめておいてくれない?
・やりたくなかったら断ってくれていいんだけど、この仕事できるかな?
というような言い方は、「決定権が部下にある」「責任の所在を曖昧にしている」ため、典型的な「位置」を間違えた言い方、むしろ「お願いごと」である。

組織の成長スピードを考えたときには、決定する人が明確で、責任の所在がハッキリしている「ピラミッド構造」が本来は最適であり、最速である。
しかし、このようなリーダーのダメなお願いの仕方が、組織をダメにしていく。

リーダーは、平等と対等は別モノであることを理解して、位置を明確にしたコミュニケーションを身につける必要がある。

マネジメントのポイント「利益」

部下にとって、そのリーダーの下にいることで受けられる利益、それは「成長できること」に他ならない。
そのためには、ただ優しいだけのリーダーではなく、「言い訳をなくしていくコミュニケーション」によって、「いい緊張感」のあるリーダーになる必要がある。

数字に厳しい上司は、今の部下にとっては嫌なものかもしれない。
しかし、「未来」に視点を移すと、「あのときは大変だったけど、頑張っておいてよかった」と、部下にとってその上司の存在はプラスに転じるはずである。
逆に、優しい上司は、今の部下にとってはいい上司ではあるが、「未来」に視点を移すと、部下は成長できないためマイナスの存在となってしまう。

そうやって未来から逆算して考えるのが、リーダーの役割である。

マネジメントのポイント「結果」

給料は、結果を出した、利益をもたらした、価値を生み出した「有益性」に対して支払われるものである。
従って、リーダーが本来評価すべきは「結果のみ」であり、プロセスは評価すべきではない

定時で仕事を終えて結果を出している部下と、残業してようやく結果を出している部下。
同じ結果だとするならば、評価されるべきなのは、当然、前者のほうである。

後者の部下を「よく頑張っているな」と褒めてしまうと、部下は「上司がいるときは残業したほうが有利だ」「結果が出なくても、『遅くまで頑張っている』と言えばいんだ」と考えてしまう。

マネジメントのポイント「成長」

・自分の経験から、つい部下が失敗しないように指導してしまう
・やる前に部下がしっかり納得するまで話をする
・腹落ちしないと部下は力を発揮できないと考える
これらは、部下の成長という観点から見ると間違いである。

最初から答えを教えたりしてしまうと、その一瞬は早いような気がする。
しかし、答えを教える組織は、部下が成長しないので、長い目で見ると速度は落ちる。

人は経験とともにしか成長できない
リーダーがするべきことは、早く目標を与えて、「まず1回やらせてみる」
それがもっとも部下を成長させる。

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