【ネタバレ】700人の村がひとつのホテルに #13

タイトル:700人の村がひとつのホテルに

著 者 :嶋田 俊平

出版社 :文藝春秋

発行日 :2022年6月10日

コンサルティングの限界

ほとんどのコンサルティング会社やシンクタンク、さらには、まちづくりに関わるNPOや大学の研究所による地方創生の流れは以下のとおり。
・地域住民や事業者へのヒアリング、行政資料・統計資料の分析等により地域の課題を抽出・整理する
・地域住民向けのワークショップを通じて、課題解決につながる施策を立案する
・その施策を体系化して、地域振興等の計画案をつくり、首長や大学教授、地域のキーパーソンからなる委員会に諮る
・そこで出た意見を基に計画に肉付けをしながら、五回程度の委員会を経て、最終的な計画を練り上げていく
・計画が完成したら写真やイラストを配置して、見栄えをよくした報告書を冊子にして、地方自治体に納品すれば業務が完了する

要するに、いかに優れた「計画」や「戦略」を練るかがすべてで、「この計画通りにやればうまくいくはずですよ」というところまでが仕事。
それをどう「かたち」にしてくかは、それぞれの地方自治体の体制次第であり、極端な言い方をすれば、「あとはそちらで頑張ってね」というスタイル

しかし、このような関わり方では、提案した施策が実際にかたちになるというリアリティを持たないまま計画をつくることになる。
そしてリスクを負うのはいつも地域だという大きな問題がついて回る。

地域と伴走する

筆者が思い描く「地方創生」、ほんとうの意味での地域活性化とは、
・まず、地域の強みを生かした商品をつくる
・商品ができたら、販路を探し、お客さんを連れてくる
・売上が増えれば、雇用が生まれ、新しい産業としてまわり始める
・この循環がうまくいくことで、新たに人が移り住むような大きな流れもできる
・そして、誰にも依らず自立していけるようになる

そのためには、報告書という「かたち」ではなく、社会的・経済的に自立できるようになるまで地域に伴走することが大切。
地域への熱い思い、地道な積み重ねを厭わない気持ち、ボランティア精神など、いかに地域に寄り添えるかが大切。

そして、多くのクライアントの切実な思いに接してきた著者からすれば、顕在化していないだけで、多くの地域が明らかに「伴走」を求めている

-ビジネス, 記事一覧