タイトル:会社は「仲良しクラブ」でいい
著 者 :橋本 正徳
出版社 :ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行日 :2021年12月25日
コラボレーションの妙
一人では到底思いつかないような「想定外」のアウトプットにこそチームやコラボレーションの本質がある。
俗に言う「1+1+1=100」は、「効率化」について話す際に用いるべきフレーズである。
コラボレーションでは「1+1+1=100」ではなく、各個人が持つ一つひとつの個性が混じり合って「想定外の1」になる。
チームで議論を重ねたり、会話やコミュニケーションのキャッチボールを続けたりといったことを重ねていくことで、関係者が想像もしていなかった、突然変異のような想定外のアイデアやアウトプットが生まれることこそ、コラボレーションの妙である。
速く行きたいなら一人で行け、遠くに行きたいならみんなで行け。
コミュニケーションの心得
コラボレーションを円滑に進めるためには、コミュニケーションが必須。
ただし、人は多様であるがゆえに、伝えるということ、理解するということは非常に難しい。
従って、「コミュニケーションはうまくいかない」「コミュニケーションミスは起きる」と割りきってコミュニケーションに挑むほうが、余裕が生まれる。
また、コミュニケーションロスやミスがあったからこそ、新たに出てくるアイデアもある。
自分の伝えたいことのうち、十分に伝わらなかった部分を相手が(自分ではまったく想像できないようなアイデアで)補完してくれて、素晴らしいコラボレーションになることもある。
重要なことはコミュニケーションがうまくいったかどうかではなく、共通のゴールを互いがしっかりと認識できているかどうかである。
コミュニケーションを深める
仕事は仕事、プライベートはプライベート、そう分けたほうがいいという意見もある。
しかし、一緒に働く仲間のプライベートな部分をそれなりにでも知ることで、愛着、共感、絆といったマインドが醸成される。
効率化を進めるためにはオンライン、デジタル化を進めることももちろん大切である。
しかし、時にはあえてアナログ的な遠回りをしてコミュニケーションすることで、日常の業務だけでは分からない、見えないヒューマニティに触れることができる。
「何をすべきか」よりも「誰を選ぶか」
マネジメントの立場に立てば、個性の違いが邪魔になることもある。
しかし、コラボレーションでは個性の違いこそがチームの強みになる。
メンバーの多様性がチームの多面性に昇華され、最強のチームを形づくる。
特定分野のスキルや情報に特化した「偏愛家」が大勢いればいるほどよい。
かなりニッチな、特定領域ではあるものの、その領域に関しては誰にも負けないスキルや思い入れを掛け合わせることによって、誰も予想できないものができたり、誰も追いつけないサービスが提供できたりする。
弱みを見せあう
自分自身で「強み」だと思っていること(仮に本当の意味で強みではないとしても)を開示されても、周囲はサポートしようとは思わない。
一方で「弱み」だと思っていることを開示された場合は、周囲はヘルプやフォローアップしてあげられそうだと思える。
ゆえに、組織やチームでは、弱みをチーム全員で協力して埋めあうことで、互いに貢献できる場所が見つかりやすくなり、働きやすくなる。
結果としてコラボレーションの推進力も生まれる。
人の本当の強みは、「強みを出そうとする」のではなく「チームの役に立とうとする」ことで発揮される。