【ネタバレ】なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか? #38

タイトル:なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?

著 者 :西 剛志

出版社 :アスコム

発行日 :2021年7月6日

コミュニケーションスキルとは

「コミュニケーションスキルが高い=話し方がうまい、話が面白い」は誤りである。
コミュニケーションスキルが高い人とは、「自分の脳と相手の脳が見せる世界が違うということをしっかりと認識している人」である。

シマウマのしましま模様は、「白地に黒いしま」「黒字に白いしま」のどちらか?という問題は、人によって見え方が変わるため、実は正解はない。
見え方が異なる2人が議論を交わしたところで、平行線をたどるだけである。
従って、唯一の解決策は、「お互いの見え方を認める」ことしかない。

脳が世界を見ている

人は「脳のバイアス」を通して世界を見ている
しかし、この「脳のバイアス」は、遺伝や性別に加え、生まれ育った地域や環境、経験などによって一人ひとり異なっている。
このため、一人ひとりが見ている世界はまったく違うものになる。

お互いが見ている世界が違えば、受け取り方も、感じ方も、考え方も異なってくる。
それにもかかわらず、「わかってくれるはず」という思い込みが原因となって、夫婦、上司部下、同僚との関係がうまくいかないことが多々ある。

どんなに親しい間柄でも、自分が見ている世界と、自分以外が見ている世界は違う

その事実に気づけば、人間関係でのストレスを減らすことができる。
コミュニケーションの方法を変えることができる。

結局のところ、人は分かりあえない生き物である。
分かりあえないのが自然である。
従って、それを受け入れて、お互いの違いを認めることが重要になってくる。

3タイプの脳

私たちは、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を通して情報を処理している。
ただし、この五感、人によって優先的に使う感覚器とそうではない感覚器がある。

脳のタイプは優先的に使う感覚器によって次の3つに分かれる。
① 視覚を優先する「視覚タイプ」
② 聴覚を優先する「聴覚タイプ」
③ 触覚、味覚、嗅覚などの体の感覚を優先する「体感覚タイプ」

このタイプによって、同じものを見ても、記憶のされ方などの脳での処理が異なってくる
脳のバイアスが、タイプ(視覚・聴覚・体感覚)によって異なってくる。

「散らかっているのに、どうしてきれいにしないの?」という妻。
「汚くないから、別に今やらなくてもいいじゃん」という夫。
2人が見ている部屋は同じであっても、妻は「汚い」、夫は「汚くない」と感じている。

これこそ、脳タイプが異なっている可能性が高いケースである。

「視覚タイプ」である妻は、ものが散らかっている状態を見ると「汚い」と感じてイライラしてしまう。
しかし「体感覚タイプ」である夫にとっては、見ただけでは「汚い」と感じられない。

一見すると妻のほうが正しい気もするが、決して夫が悪いわけでもない
脳タイプが異なっていると、たとえ夫婦間でも分かりあえないことがある。

人によって気になることは違う

ふつうなら気にならない程度の音にも敏感に反応しやすいのが、聴覚タイプ。

静かに歩いているつもりなのに、静かにドアを閉めているつもりなのに、「うるさい」と注意されてしまう。
自分にとっては、大した音ではなくても、聴覚タイプの人にとっては気になって仕方がないのである。

一方、ふつうなら快適なはずの気温でも、ちょっとでも寒かったり暑かったりすると敏感に反応しやすいのが体感覚タイプ。

暑くも寒くもないのに暖房や冷房に付き合わされる。
自分にとっては冷暖房が不要でも、体感覚タイプの人にとっては、それが快適なのである。

つまり、自分にとっては気にならないことでも、脳タイプが異なっていると気になる人もいるということ。
逆に、自分がとても気になるようなことでも、まったく気にならない人もいるということ。

伝わる説明の仕方

何かを教えるときに
・丁寧に説明したほうが早く身につく人
・説明するより体験させたほうが早く身につく人
がいるのも、脳タイプの違いから。

脳タイプごとに効果的な説明方法は、
■視覚タイプ
全体像を見せる。図や絵があるとさらに効果的
■聴覚タイプ
丁寧な説明が必要
■体感覚タイプ
簡単な説明で、実体験させてみる

体を動かしたほうがすぐ理解できる人に、いくら理論的に言葉で説明しても、時間ばかりがかかってしまう。
つまり、「教えても分かってもらえない」というのは、教える側と教わる側の脳タイプが異なっている可能性がある

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